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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:697ページ
ナイス数:50ナイス

喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)喧嘩両成敗の誕生 (講談社選書メチエ)感想
2006年第1刷、2015年第8刷。読メ感想から興味を持って手に取ったが面白い。史料からの豊富な事例と平易な文章で喧嘩両成敗法誕生以前から室町期の人々の意識、紛争解決手段を追っていく。両成敗法は戦国大名の強圧的な秩序形成策ではなく、自力救済社会の中から生まれた紛争解決の法慣習の蓄積と位置付けているのは目から鱗。織豊期を経て江戸期に入り、自力救済から裁判へと収斂していくのだが(家綱や綱吉の功績も大きい)、赤穂事件に対する反応を見ても衡平、調和という意識は江戸期にも消えたわけではなく、現代にも残っている。
読了日:8月20日 著者:清水克行
「マイナス金利」の真相「マイナス金利」の真相感想
週刊ダイヤモンドの書評からのKindle版。マスコミや財務省の言っていることが正しいとは思わないが、日銀や政府の政策も正しいとは思えない(仮に正しいとしても効果が出ているとは思えない)。本書は最初はわかりやすい話でなるほどと思わせるが、次第にわかりにくい話に。実体経済がよくならない理由の説明はしていない。雇用が改善したといっても非正規が増えただけで実質賃金は上がっていない。金融緩和をしても金融機関から市中に出回らなければ意味がない。経済理論としては正しくても現実の経済がその通りに動くとは限らない。
読了日:8月13日 著者:高橋洋一
週刊ダイヤモンド 2016年 8/13・20 合併特大号 [雑誌] (どうする! 「実家」の大問題)週刊ダイヤモンド 2016年 8/13・20 合併特大号 [雑誌] (どうする! 「実家」の大問題)感想
PRESIDENT 2016年8/29号と同じテーマでは。個人的にも気になるテーマ。実家を相続する気はないが自分のものを含めて整理をどうするか。相続は。供養は。やらなければならないことは多い。■空き家、空室が増えるのに増え続ける賃貸物件。「負動産」にはしたくない■カラダご医見番:恐竜も腫瘍を患うとは■大人のための最先端理科:コピペで増えるDNAの塩基配列(難しい…)■財務で会社を読む:出光興産。創業家がシェルとの合併に反対する理由には説得力がない、と■超整理日記:野口悠紀雄先生の話にはいつも納得
読了日:8月11日 著者:
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)感想
帯は煽り過ぎかと。遺伝や進化にまつわる言ってはいけない(タブーな)話についてデータを使いながら述べる。「蛙の子は蛙」「鳶が鷹を生む」「父子鷹」など親子の才能、能力に触れた諺の類がありますが、子どもの成長に対し、親の働きかけや子ども自身の努力に意味も価値もないとは思いません。確率的に高いものもあるのでしょうが、本書の内容を鵜呑みにすることもないと思います。優勢思想的なことは言いづらい、まさにタブーなのですが、相模原での事件にはどうコメントするのでしょうか。
読了日:8月6日 著者:橘玲

読書メーター
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『喧嘩両成敗の誕生』
清水克行、講談社選書メチエ、1,500円+税

読メ感想から興味を持って手に取ったが面白い。史料からの豊富な事例と平易な文章で喧嘩両成敗法の誕生以前からの室町期の人々の意識を追っていく。両成敗法は戦国大名の強圧的な秩序形成策ではなく、自力救済社会の中から生まれた紛争解決の法慣習の蓄積と位置付けているのは目から鱗。
織豊期を経て江戸時代に入り、自力救済から裁判へと収斂していくのだが(家綱や綱吉の功績も大きい)、赤穂事件に対する反応を見ても衡平、調和という意識は江戸時代にも消えることはなく、現代にも残っている。

【追記】

裏表紙に「中世、日本人はキレやすかった! 大名から庶民まで刃傷沙汰は日常茶飯事」とありますが、トラブルがあったらすぐに命の危険にかかわるという社会では人々は安心して暮らせません(米国の銃社会を想定してもらえばわかりやすいと思う)。

室町期(だけではない)では、トラブルがあっても権力が護ってくれるとは限らない、というか、幕府の権力が弱いため、当事者がやりあう「自力救済」ということになって、このままだと紛争が延々と続くことになります。人々も愚かではありませんから、紛争解決の手段として「折中の法」や「解死人の制」などを生み出すことになり、その延長上に喧嘩両成敗法が誕生することになります。

本書では、喧嘩両成敗法は戦国大名の強圧的な秩序形成策ではなく、自力救済社会の中から生まれた紛争解決の法慣習の蓄積と位置付けています。戦国大名も単に喧嘩両成敗を目指したわけではなく、実際は喧嘩になる前に大名に訴えることを求めていました。

「中世、日本人はキレやすかった」という一方で、もっと昔、聖徳太子が憲法十七条に、仏教や天皇の詔より前の第一条にまず「和をもって貴しとなし」としたように、日本人には意識の底に「和」、すなわち調和を求める意識がありました。(聖徳太子の実在、あるいは憲法十七条が創作かどうかはともかく、条文は720年成立の『日本書紀』に記載されている。)

これは怨霊信仰(怨みを買いたくない)とも関係するのでしょうが、仮に自分に非がなかった、あるいは相手の方に自分を上回る非があったとしても、日本人は勝ち過ぎを避ける傾向にあって、さらに周りの目を意識して、勝ち過ぎと見られることをも忌避する傾向にあるのではないかと思います(いまも)。

そうなると、事実をとことん突き詰める(それ自体を最初からしないわけではない)とか、「白黒つける」ことは必ずしも至上命題ではなく、いかにして、お互いのメンツを保つか、丸く収めるか、ということの方に意識が向けられることになります。事実がどうかも軽視するわけではありませんが、お互いが「納得」するかが重要であって、それが「和」ということになります。

街角のインタビューの中にありましたが、陛下のお気持ちを臣民が忖度するのは不敬だと思いますね。天皇としての地位、職務、職責を全身全霊で務めることの肉体的、精神的な負担は陛下以外には理解できないと思います。我々にはそういうものがあることを想像することしかできません。

死ななければ辞められない地位というのも厄介なもので、歴史上の天皇のおよそ半数が譲位したとされています(上皇や法皇となっても「治天の君」として君臨することができた)。

昭和天皇は大正天皇の摂政を五年ほど務めましたが、今上天皇は摂政を置くことには否定的なようで、生前退位を望んでおられるということのようです。

それにしても、生前退位が「認められない」というのは誰が認めないのでしょうか。憲法や皇室典範にそのような規定がないのは事実ですが、「認めない」や「許さない」の主語は誰なのか気になるところです。法制度の整備にかかわってくる問題です(要は国民であって、国民の代表である国会や議院内閣制であるところの内閣や法制度をつかさどる司法というところになるでしょうか)。

今上天皇の生前退位には異論は少ないと思いますが、今後、天皇となられる方の生前退位が政治利用されることはないのでしょうか。皇室典範に生前退位の規定を設けるのか、今上天皇一代限りの特別法とするのか、これから議論されていくことかと思います。

いくつか気にかかった点
「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶ」
一般にバブル景気崩壊の要因にはあげられていませんが、昭和天皇崩御後の自粛ムードがバブル景気崩壊へつながったのではないかという印象はあります(もちろん、これだけが要因ではない)。

「象徴天皇の務めが常に途切れることなく」
戦後の新憲法で象徴天皇が生まれたように認識されている方も多いのかもしれませんが、それ以前から象徴としての立場であったわけで、陛下御自身もそのように認識されていたということですね。天皇が帝国憲法のような「統治権の総攬者」だったのは日本の歴史を見ても限られた時期でしかありません。
2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:256ページ
ナイス数:25ナイス

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)感想
Kindle版。次の都知事にはドクター中松、の作ったロボットでいいのではという笑えない話がありますが、AIの進化で気になるのはやはり雇用の問題です。ロボットが人間に取って代わっても「ロボットは消費しない」ので(この語は使い方に注意が必要)、いずれ生産と消費が縮小均衡するのかもしれませんが、行き着く先は『マトリックス』のような世界なのかも(あれは一種のディストピア)
読了日:7月18日 著者:小林雅一
歴史群像 2016年 08 月号 [雑誌]歴史群像 2016年 08 月号 [雑誌]感想
■奮戦!第二水雷戦隊:吹雪型、朝潮型、陽炎型などの駆逐艦に反応したら■ドイツ軍の“いちばん長い日”:ノルマンディ■ユリシーズ・グラント伝:南北戦争の北軍総司令官。最悪の大統領(の一人)らしい■壮烈!熊本城攻防戦:西南戦争でも難攻不落だったが・・・熊本地震では石垣を含めて被害の大きさに絶句■必見!戦国時代劇50:今月号の必見はこちら。『七人の侍』『影武者』『乱』から大河ドラマ、映画など。『真田丸』視聴者にも優しい解説■巧遅より拙速を貴ぶ海軍:略号や造字は読めず。「時間で戦争をする」は現代ビジネスにも通じる
読了日:7月10日 著者:

読書メーター
元横綱千代の富士、九重親方死去

61歳は若い。週刊誌等ですい臓がんの手術を受けたとは
聞いていましたが、急逝という感じですね。

子供心に「強い」横綱のイメージで、
「憎たらしい」(これは北の湖)というより、
「かっこいい」という感じでした。

筋骨隆々で(肩の脱臼癖を守るためだったこともある)、
美しい四股(左脚が斜め上にまっすぐ上がる)、
上手投げが決まるたびに「かっこいい」と思っていました。

同じ北海道出身でしたし、郷土の英雄でした。

連勝記録が53で止まった、1988年(昭和63年)の九州場所、
昭和最後の取り組みでしたが、大乃国戦(「北海の白熊」って
言われてたかなあ・・・)、まさかの敗戦で、
中継を見ていた家族中からため息が漏れたのを覚えています。

娘さんが生後すぐに原因不明で亡くなられたり
(後からSIDSと判明したんだったと思う)、
貴花田に負けて(その二日後に)引退を表明したり、
ただ単に強いだけでなく、いろいろあることを
教えてくれた横綱だったと思います。

星を買ったとかどうとかいうのはどこまでどうなのかわかりませんが
(それで当時の優勝記録だった大鵬の32回には1回及ばなかったとか)、
最近もがんを患ったとは思えない感じだったので
(見なかっただけかも)、急な印象です。

ご冥福をお祈りいたします。

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