兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1589
ナイス数:105
電子書籍でアガサ・クリスティーのポアロシリーズにハマっています(「ハマる」の意味は今後変わっていきそうですが……日大アメフト部の問題を受けて)。紙ベースでは歴史関係の書籍を並行読みしています。鬱々としてくる季節には読書かな。下の感想は読書メーターに投稿したものから加筆修正しています(向こうは字数制限があるので)
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の感想
1926年。Kindleであれば「人気のあるハイライト」を無効にすることを強く推奨。無駄がない、といってもシンプルということではなく、何気ない文章にもヒントが隠されており、大胆かつ緻密に計算された作品。締め方も文句なし(ポアロの行動に賛否あるようですが)。トリックは知っていたがアンフェアとは思わず(だってこんなにヒントが出ていたんだもの)。京極夏彦『姑獲鳥の夏』の方がミステリとしてフェアじゃないと思う。ストーリーを知りたくなかったので先日のテレビ版(『黒井戸殺し』、三谷幸喜脚本)は見なかったが、録画しておけばよかった。
読了日:05月29日 著者:アガサ クリスティー
天下分け目の関ヶ原の合戦はなかった: 一次史料が伝える“通説を根底から覆す"真実とはの感想
白峰旬氏の著作も読んでおり内容には概ね納得。乃至氏は『関東戦国史と御館の乱』などの著作があり、上杉景勝への強い思い入れが感じられるが、小説的な文章もあってやや閉口(小説家の方が向くかも)。直江状の再検証にかなりの紙幅を割いているがこれは関ヶ原全体の分析にも必要なことで、結論にも違和感は少ない。初見の史料も豊富だが、自分でも検証したいので原文や釈文は示してほしい(白峰旬氏の著作の時にも同じことを書いた)。また地図がわかりにくい。地名(点)だけで地形や道の状況がわからず。司馬遼太郎『関ヶ原』の批判は避けられないが、「三国志」で言えば、『三国志演義』の人気がなければ、正史『三国志』が脚光を浴びることもなかったわけで、吉川英治や横山光輝の『三国志』に魅力があるのも事実(似た話が終章にあり)。そういう意味では陳舜臣の『秘本三国志』は70年代に書かれた「三国志」としては異色だったのかもしれない(日本で正史が本格的に取り上げられるようになったのは90年代になってからだと思う)。関ヶ原もようやく小説的虚構を排して、史料的事実を追究する段階に来たということだろう。
読了日:05月27日 著者:乃至政彦,高橋陽介
ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の感想
1923年。『スタイルズ荘の怪事件』に続くポアロ長編の第2作。次が『アクロイド殺し』だし、題名も地味(ゴルフ場はほぼ関係ない)なので知名度は低い(皆無に等しい)が、ヘイスティングズ(ホームズ物のワトソン役、語り手)との絶妙なやり取りはすでに確立している(デヴィッド・スーシェ(声・熊倉一雄)で脳内再生)。ヒントは出すが答えは教えてくれないポアロにはイラッとさせられるかもしれないが、数多のミステリに触れている現代人には逆に微笑ましく映るかも(もどかしいというよりは、鬱陶しく感じるかもしれないが)。前後の作品同様、登場人物の謎が一つ一つ解明されていくあたりはさすが。
読了日:05月24日 著者:アガサ クリスティー
肺炎がいやなら、のどを鍛えなさいの感想
先日、父が食道穿孔となり1か月入院して激やせしたことにショックを受けたのですが、自分もむせたり咳き込んだりすることが増え、嚥下(えんげ)機能の衰えを感じるようになりました。自分の足で歩くことと同様に、自分の口、のどで食べることも重要で、これらができなくなると急速に弱っていきます。ということで、いまから少しずつでものどを鍛えようと思います。そのための「のど体操」を知りたければ、第3章だけ読めばOKです(前後も重要なことが書かれているので一読をお勧めします)
読了日:05月20日 著者:西山耕一郎
欲望の民主主義 分断を越える哲学 (幻冬舎新書)の感想
新聞などの書評では高評価だが、哲学全開のところは抽象的、観念的で読みづらい。訳のせいもあるのか、言葉が上滑りしていて文意がなかなか頭に入ってこない。ただし、最後のマルクス・ガブリエル(ドイツの哲学者)の話はわかりやすく、どう行動すべきかの示唆に富む。
「民主主義の恩恵を享受する民主主義者が、民主主義を信じなくなる。それが危機なのです。民主主義を信じるということは、みんながきちんとした生活を送れるように助けようとする、ということ」「民主主義は声なき者を尊重する制度」
読了日:05月05日 著者:丸山 俊一,NHK「欲望の民主主義」制作班
読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1589
ナイス数:105
電子書籍でアガサ・クリスティーのポアロシリーズにハマっています(「ハマる」の意味は今後変わっていきそうですが……日大アメフト部の問題を受けて)。紙ベースでは歴史関係の書籍を並行読みしています。鬱々としてくる季節には読書かな。下の感想は読書メーターに投稿したものから加筆修正しています(向こうは字数制限があるので)

1926年。Kindleであれば「人気のあるハイライト」を無効にすることを強く推奨。無駄がない、といってもシンプルということではなく、何気ない文章にもヒントが隠されており、大胆かつ緻密に計算された作品。締め方も文句なし(ポアロの行動に賛否あるようですが)。トリックは知っていたがアンフェアとは思わず(だってこんなにヒントが出ていたんだもの)。京極夏彦『姑獲鳥の夏』の方がミステリとしてフェアじゃないと思う。ストーリーを知りたくなかったので先日のテレビ版(『黒井戸殺し』、三谷幸喜脚本)は見なかったが、録画しておけばよかった。
読了日:05月29日 著者:アガサ クリスティー

白峰旬氏の著作も読んでおり内容には概ね納得。乃至氏は『関東戦国史と御館の乱』などの著作があり、上杉景勝への強い思い入れが感じられるが、小説的な文章もあってやや閉口(小説家の方が向くかも)。直江状の再検証にかなりの紙幅を割いているがこれは関ヶ原全体の分析にも必要なことで、結論にも違和感は少ない。初見の史料も豊富だが、自分でも検証したいので原文や釈文は示してほしい(白峰旬氏の著作の時にも同じことを書いた)。また地図がわかりにくい。地名(点)だけで地形や道の状況がわからず。司馬遼太郎『関ヶ原』の批判は避けられないが、「三国志」で言えば、『三国志演義』の人気がなければ、正史『三国志』が脚光を浴びることもなかったわけで、吉川英治や横山光輝の『三国志』に魅力があるのも事実(似た話が終章にあり)。そういう意味では陳舜臣の『秘本三国志』は70年代に書かれた「三国志」としては異色だったのかもしれない(日本で正史が本格的に取り上げられるようになったのは90年代になってからだと思う)。関ヶ原もようやく小説的虚構を排して、史料的事実を追究する段階に来たということだろう。
読了日:05月27日 著者:乃至政彦,高橋陽介

1923年。『スタイルズ荘の怪事件』に続くポアロ長編の第2作。次が『アクロイド殺し』だし、題名も地味(ゴルフ場はほぼ関係ない)なので知名度は低い(皆無に等しい)が、ヘイスティングズ(ホームズ物のワトソン役、語り手)との絶妙なやり取りはすでに確立している(デヴィッド・スーシェ(声・熊倉一雄)で脳内再生)。ヒントは出すが答えは教えてくれないポアロにはイラッとさせられるかもしれないが、数多のミステリに触れている現代人には逆に微笑ましく映るかも(もどかしいというよりは、鬱陶しく感じるかもしれないが)。前後の作品同様、登場人物の謎が一つ一つ解明されていくあたりはさすが。
読了日:05月24日 著者:アガサ クリスティー

先日、父が食道穿孔となり1か月入院して激やせしたことにショックを受けたのですが、自分もむせたり咳き込んだりすることが増え、嚥下(えんげ)機能の衰えを感じるようになりました。自分の足で歩くことと同様に、自分の口、のどで食べることも重要で、これらができなくなると急速に弱っていきます。ということで、いまから少しずつでものどを鍛えようと思います。そのための「のど体操」を知りたければ、第3章だけ読めばOKです(前後も重要なことが書かれているので一読をお勧めします)
読了日:05月20日 著者:西山耕一郎

新聞などの書評では高評価だが、哲学全開のところは抽象的、観念的で読みづらい。訳のせいもあるのか、言葉が上滑りしていて文意がなかなか頭に入ってこない。ただし、最後のマルクス・ガブリエル(ドイツの哲学者)の話はわかりやすく、どう行動すべきかの示唆に富む。
「民主主義の恩恵を享受する民主主義者が、民主主義を信じなくなる。それが危機なのです。民主主義を信じるということは、みんながきちんとした生活を送れるように助けようとする、ということ」「民主主義は声なき者を尊重する制度」
読了日:05月05日 著者:丸山 俊一,NHK「欲望の民主主義」制作班
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