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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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「戦国人物紹介」

衰勢の大友家を一人支えた勇将
 
攻城戦で攻撃側が優勢で落城必至の場合は、攻撃側の勧告により守備側が開城を受け入れることが普通である。守備側が最後まで徹底抗戦した場合、攻撃側の被害も甚大になるからである。「忠臣は二君に仕えず(事えず)」といった武士道的な精神が広まったのは江戸時代になってからだが(この言葉自体の原典は「史記」)、戦国大名自身や一族であればともかく、家臣が主君のために自分の命をかけて最後まで戦うということはまれである。
 
044 高橋紹運 【たかはししょううん】 1548-86
 
あるいは書きを「紹雲」、読みを「じょううん」とも。大友義鑑の家臣である吉弘鑑理の二男で初名は吉弘鎮理。孫七郎、主膳入道。のちに高橋氏の名跡を継いで高橋鎮種と称する。室は斎藤鎮実の妹。立花宗茂、立花直次(高橋統増)の実父。
 
1567年、大友氏の一族で家臣である高橋鑑種が毛利氏に通じて謀反を起こし、筑前などの国人も反乱を起こすと、父とともに鎮定に努めた。鑑種が追放されると、宗麟の命で高橋氏の名跡を継ぎ(吉弘氏も大友氏の一族である)、高橋鎮種(紹運)と名乗り、宗麟から岩屋・宝満の二城を与えられる。
 
1581年、男子のいない立花道雪から嫡男統虎を養子にと請われる。紹運は、統虎は大事な跡取りであるからとして拒絶したが、道雪からの度重なる懇請に受け入れた。
 
1585年に道雪が死去すると、大友氏の命運は紹運一人の双肩にかかることになった。道雪の死を好機と見た反大友勢力の攻勢が強まり、中でも、筑紫広門は紹運が筑後に遠征した隙を突いて宝満城を奪った。紹運は反転して宝満城を攻めると、広門と和睦し、広門の娘を二男高橋統増(立花直次)の妻に迎えた。
 
1586年、島津氏が五万と称する大軍を率いて北上を開始する。紹運は岩屋城で迎え撃つことになったが、城兵はわずか763名。島津軍の攻撃が始まると、半月ほど戦いが続いたが全員が討ち死にし、岩屋城は陥落した。紹運は「屍をば岩屋の苔に埋めてぞ雲井の空に名をとどむべき」の辞世の句を城の扉に書きつけると、高櫓に上って腹を切ったという。島津軍は三千名と言われる死者を出し、態勢の立て直しに時間がかかった。島津軍はさらに進んで立花城の立花宗茂を囲むが、秀吉軍の九州上陸が始まったため、撤退を余儀なくされた。紹運は己を犠牲にして宗茂を、そして大友氏を救ったのである。
 
醜女(しこめ)を娶る
紹運が若いころの話だが、大友氏の重臣であった斎藤鎮実の妹(一説に娘)を娶ることを約束していた。しかし、戦が続いて、婚儀が遅れてしまっていた。紹運は鎮実に会うと、そのことを詫びたが、逆に鎮実は、妹が疱瘡にかかって二目と見られない醜女となってしまったから、と婚約の話を断ってきた。これを聞いた紹運は「自分は容姿に惚れて婚約を決めたわけではありません、斎藤家は武門の家であればこそ自分の妻にと望んだのです」と、それから間もなくして妻に迎えた。この妻との間にもうけたのがのちの立花宗茂である。吉川元春でも似たような話を書いた。
 
父子の別離
紹運は宗茂をかわいがったが、立花道雪から養子に望まれ、ついに断り切れずに立花家に送り出した時のことである。紹運は宗茂にこう言った。「今日を限り、自分を親と思うな。明日には道雪殿と敵味方になるかもしれぬ。その時、そなたは立花家の先鋒となって、かならずや自分を討ち取れ」と一振りの刀を宗茂に与えたという。この話は諸書によって幾分色合いが異なる。



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「玉砕」という言葉は戦中美化されて使われたが、この人の死はそれ以前の玉砕そのものである。

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