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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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東洋史学者の内藤湖南が講演で「大体今日の日本を知る為に日本の歴史を研究するには、古代の歴史を研究する必要は殆どありませぬ、応仁の乱以後の歴史を知って居ったらそれで沢山です」と語ったことは知られている。応仁の乱を境に没落した家、あるいは勃興した家は少なくない。それだけに、応仁の乱、それに続く戦国時代を乗り越えて続いた家には歴史的重みがある。
 
続かなかったのは少弐氏、かろうじて家名をつないだのが菊池氏である。
 
少弐(しょうに)氏 幕府からの独立を志向するが大内氏に敗れる
 
少弐氏は秀郷流藤原姓(藤原秀郷の後裔)、あるいは藤原道長の子長家の子孫という。始祖の武藤資頼の父武藤資平は系図上、大友氏の祖である大友能直の父近藤能成と兄弟である。これを事実とすれば、少弐氏と大友氏は同族ということになる。
 
武藤資頼は奥州遠征の功により、1196年、鎮西奉行、太宰少弐に任ぜられ、その子資能は大宰府を守護所に改めて少弐氏を称した。「少弐」の名は代々世襲したこの職名に由来する。資能は元寇にも対応した長命の人である。元寇では子の経資、景資とともに九州の武士団を率いて戦うが、孫の資時が壱岐で戦死、資能自身も戦いで負った傷により死去するなど、少弐一族には大きな犠牲が出た。
 
元寇での功績により九州北部の各地の守護を務めるなど、勢力を拡大するが、資能の子経資、景資が家督をめぐって争う。また執権北条氏が鎮西探題を設置し、北条一門を配すると少弐氏もその支配下に置かれ、忍従の日々を送ることになる。
 
五代貞経は後醍醐天皇の挙兵に呼応し、大友氏、島津氏とともに鎮西探題の北条英時を討つ。建武の新政では筑前・筑後の守護職を与えられる。足利尊氏が天皇に叛くとこれに応じるが、1336年に菊池武敏や阿蘇惟直に攻められて自害する。後を継いだ頼尚は九州に逃れてきた足利尊氏を迎え、多々良浜の戦いで菊池氏らを破る。この後、筑前・豊前・肥後・対馬の守護となる。足利尊氏と弟直義が対立する観応の擾乱が起こると、直義の養子(尊氏の子)である直冬を擁して、幕府方の九州探題の一色範氏と争う。このため所領の大半を没収されるが、南朝勢力である懐良親王の征西府と結んで一色範氏を九州から追うことに成功する。共通する敵がいなくなった後は南朝方と争うが敗れる。
 
子の冬資は九州で南朝勢力が最盛期を迎える中、幕府に新たな九州探題を派遣するよう要請し、これに応じた足利義満は今川了俊(貞世)を派遣する。了俊は南朝勢力を徐々に駆逐していくが、冬資は菊池本城攻めへの不参加を理由に了俊に誘殺された(水島の変)。その後の少弐氏は南朝方に協力していく。南北朝合一後も九州探題との争いが続くが、これに介入したのが大内氏である。大内氏との対立が少弐氏の衰亡につながっていく。
 
1425年、少弐満貞は菊池兼朝とともに挙兵して九州探題渋川義俊を追うが、大内盛見(もりはる)は京から九州に下り、義俊とともに満貞らを破った。1431年には大友氏とともに大内盛見と戦い、盛見を討ち取ったが(「名将犬死」と言われた)、1433年、盛見の後を継いだ大内持世の攻撃を受け、秋月城で討たれた。子の嘉頼、教頼はかつて守護を務めた対馬の宗氏を頼った。
 
教頼の子政資は応仁の乱の際に筑前、豊前を回復して大内氏の勢力を九州から駆逐するが、大内義興に敗れて筑前、豊前を失い、多久城下の専称寺で自害する。子の資元は肥前で龍造寺氏らの支援を受けて勢力を回復するが、大内義隆に敗れて所領を失って自害した。その子冬尚は龍造寺隆信に攻められて自害し、ここに少弐氏の正統は絶えた。

武藤資頼(初代)-少弐資能-経資-盛経-貞経-頼尚-直資=冬資=頼澄-貞頼-満貞-資嗣=嘉頼=教頼-政資-資元-冬尚

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