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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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地名の話・5

「有楽町」も「八重洲」も人の名前から(否定する説もある)

最初に地名の話をしたときに、(日本人は)地名を変えることにタブー意識がある、人名から地名を付けることはまれである、と書きましたが、「豊田市」があるじゃない、と思った人は鋭い人です。

豊田市ができたのは現代の話で、1959年のことです。もとは挙母市(ころもし)と言いましたが、トヨタ自動車を誘致するにあたって、市の名前ごと豊田市に変えてしまいました。もともと「挙母」が読みにくいという点や、長野県の小諸(こもろ)と混同されるという点もありましたが、市を二分するほどの議論の結果、市みずからが企業城下町となることを決めたのでした。ちなみに、トヨタ自動車は当然「とよた」と読みますが、トヨタ自動車の創業者豊田喜一郎(豊田自動織機の創業者豊田佐吉の子)は「とよだ」と読みます。

こういった個人の名字、あるいは組織、社名が地名となる例は非常に珍しく、もう一つ天理市の例が知られています(言うまでもなく、天理教に由来します)。また、北海道伊達市は仙台藩の一門である亘理伊達家の領主伊達邦成とその家臣たちが集団で移住し開拓したことに由来しています。福島県相馬市も相馬氏(相馬の名字は下総相馬郡に由来する)が治めたことに由来しています。

また、市町村合併などで地名を合成することもあります(近現代に限ったことではない)。大分県の温泉で有名なのが「湯布院」ですが、これは1955年に由布院町と湯平町が合併してできた町名です。文字も合併しています。2005年にさらに合併があって由布市となっています。なお、「湯布院温泉」という名の温泉は存在せず、「由布院温泉」が正しいのですが、音だけでは判断できないので注意が必要です。

平成の市町村合併により新しい地名が生まれる一方で、昔からの地名が消える例も少なくありません。ただ、市町村合併でひらがなの地名や、まったく新たな地名が出てくることは残念に思います。地名には昔の人が込めた思いがあるはずです。それは由来と言います。由来が消えてしまうようで残念に思います。もともと漢字だったものをひらがなにすると、由来がわかりづらくなってしまいます。地名に込めた昔の人の思いもわからなくなってしまうということですよね。

自分の名前であれば、たとえ難しい漢字であっても、学校で習っていない漢字であっても、最初は字体が崩れたとしても、自分の名前は漢字で書きたいと思うのではないでしょうか(下の名前はひらがなの場合もありますが)。それが親や先祖から与えられた、伝えられてきた名前だからではないでしょうか。そこに誇りを感じるからではないでしょうか。

「わかりやすいから」「親しみやすいから」などといった理由で、もとの由来は漢字であった地名がひらがなに変えられてしまうのは残念に思います。

次回からは「戦国人物紹介」、再開です。足利義輝、三好長慶、あたりから松永久秀へ。
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