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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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「拘禁反応」とはなんぞや。

袴田事件における静岡地裁の決定自体にどうこういうつもりはありませんが、「正義」という言葉を持ち出してきたことは意外、というか、少なからず驚きました(もと法学部生としても)

静岡地裁は拘置停止理由を「元被告は捜査機関に捏造の疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた。」「これ以上拘置するのは耐え難いほど正義に反する状況にある」としましたが、拘置するのが耐え難いのは誰でしょうか。正義に反しているのは何でしょうか。そして「正義」とは何でしょうか。

いわゆるお役所言葉なので、主語がなく、意味がわかりづらい文章です。

元被告を「拘置する」のは東京拘置所(法務省の管轄)ですが、「これ以上拘置するのは耐え難い」のは拘置の停止を決定した地裁(裁判官)なのでしょうか。元被告は「拘置される」側です。裁判官が耐え難いほど正義に反する状況にある、ということでしょうか。

となると、その「正義」とは何なのでしょうか。

「正義」は英語で「justice」ですが、ローマ神話の女神であるユースティティア(ラテン語で「正義」を意味する)は正義の女神とされ、裁判所などで女神の像を飾ることがあります。ギリシャ神話のテミスと同一人物とされることもあり、「テミスの像」と書いた方がわかりがいいかもしれません。この像は右手に剣を持ち、左手に天秤を持っています。また目隠しをしている場合もあります(それぞれに象徴しているものがあります)。

このブログでも過去に『ハーバード白熱教室』のマイケル・サンデル氏が書いた『これからの「正義」の話をしよう』について触れたことがありますが、何が正義か、何が正しいかを決めるというのは難しいことです。

決定理由の骨子からは「捏造された疑いのある証拠で有罪とされたが、無罪である可能性が相当程度明らかになった現在、これ以上拘置を続けることは正義に反する」ということでしょうから、無罪の可能性が高い元被告を拘置するのは法に反する、あるいは道理ではない、納得ができない(広く納得が得られない)となりましょうか。

ここは「耐え難いほど正義に反する」とあえて表現したことに裁判官の意思を汲み取るべきでしょう。過去の検察や警察、裁判所に対する厳しい批判になっています。
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