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兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり(『孫子』)
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11月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1080
ナイス数:91

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 (講談社現代新書)大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 (講談社現代新書)感想
海外からは「世界初の組織的先物取引市場」と評価する意見も少なくない堂島米市場。1848年設立のCBOT(シカゴ商品取引所)より100年以上早い1730年代には「公認」されている。本書は特に江戸幕府が市場経済とどう対峙したかを観察することを主題としている。幕府は低落する米価を上昇させようと努力しているが、「市場との対話を繰り返すなかで答えを見出そうとした幕府の姿勢には学ぶべき点も多々あるように思う」としており、デフレに悩む現代の経済、政策について考える際にも大いに参考にすべきだろう。
米そのものの売買を伴わず権利(将来の売買価格)を売買するのはまさに先物取引(厳密には若干異なる)だが、このあたりの知識がなくても本書は十分に楽しめる。
現代語訳と史料原文を併記しているのは好感。当時の雰囲気が伝わってくる。
堂島米市場は明治2年にいったん廃止されるが、司馬遼太郎『この国のかたち』『明治という国家』でも語られるように、江戸時代の蓄積が明治になって花開いた部分がこの堂島米市場とその周辺(商人や農家)にもあったのでは。歴史を学ぶ目的の一つが過去の事象を現在や将来に活かすためだと思う。
本書からの引用だが、経済史学は「経済学と歴史学の分析手法の双方を採り入れて歴史的事実の解明を進める」もので、「経済学や金融・ファイナンス論の知見を駆使しなければ、本書を書くことはできなかった」、「数学から逃れることのできない経済学の勉強と、くずし字を含む歴史的資料の解読から逃れることのできない歴史学の勉強を同時並行で行う意欲的な学生など、そうそういるものではない」。(学生ではありませんが)ここにいます!
分析途上の部分が多々あることは認識されており、むしろこれからの分析でどのような事実が明らかになっていくかが興味深い。ところで、第一章終わりの石高と人口の推移はこれで合ってる?石高と人口はある程度近いところにあると思っていたのですが(戦国末から江戸初期が1800万石、江戸中期が3000万石で人口も同程度)
読了日:11月28日 著者:高槻 泰郎

旧約聖書 (まんがで読破)旧約聖書 (まんがで読破)感想
ダイジェスト版だが、アダムとイヴ、ノアの箱舟、バベルの塔、ソドムとゴモラ(振り返って塩になるというのは何のモチーフなのだろう)、モーセ(出エジプト後の人生も結構激しい)、ダビデ王など有名な話の流れがよくわかる。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は共通の唯一神(一般に「ヤハウェ」)を信仰の対象としているが、キリスト以前の神との約束が「旧約」なので、「旧約聖書」はキリスト教だけの呼称ということになる。三つの宗教でまったく同じ経典を用いているわけではないが、「旧約」の神は(自分で人を創ったのに)よく人を殺すという印象。その試練に耐えての信仰であり救済なのだろうが。ある意味、選民思想も見え隠れする。
読了日:11月11日 著者:バラエティアートワークス

三幕の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)三幕の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
1934年。ポアロ長編9作目。それにしても頻繁にホームパーティを開くこと(探偵が容疑者を集めて推理を披露するのはお約束だが)。第一幕、第二幕は殺人は起きるが推理はほとんどなく話が進まない。会話の文が多いのも退屈さに輪をかける。第三幕もこれでもかと話を進めないのだが、それこそがクリスティーの仕込み。この退屈さが鮮やかに反転するのは見事というほかない(本作の退屈さは尋常ではないが)。最後は収まるところに収まるのもよい。ところで本懐を遂げる前に事が露見する可能性を考えなかったのはこの犯人の正常でないところか。
読了日:11月04日 著者:アガサ クリスティー

読書メーター
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10月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:456
ナイス数:71

現代語訳 三河物語 (ちくま学芸文庫)現代語訳 三河物語 (ちくま学芸文庫)感想
80年刊行の文庫化。講談では一心太助を従えた「天下のご意見番」として知られた大久保彦左衛門の書。松平氏の勃興から筆を起こしているが、彦左の生年は桶狭間の戦いがあった1560年なので、上・中冊は伝聞や当時の文献の編集。また、徳川贔屓であることは否めず、このあたりは眉に唾をつけて読む必要がある。明らかな誤記のほか、必ずしも時系列順でない、主語を把握しづらいなど、精読には時間がかかる。とはいえ、当時の人々の考え方の一端が窺い知れるし、一部が引用されることも少なくないので、文庫化で入手が容易になったのは嬉しい。
読了日:10月28日 著者:大久保 彦左衛門

週刊ダイヤモンド 2018年 10/13 号 [雑誌] (新宗教の寿命 伸びる教団 縮む教団)週刊ダイヤモンド 2018年 10/13 号 [雑誌] (新宗教の寿命 伸びる教団 縮む教団)感想
名前はTAGでも中身はFTA■FRBの利上げと米国、世界の景気■電車車両の共通化によるコスト減■英国における移民流入の影響分析■特集は新宗教の寿命。創価学会、立正佼成会、真如苑など。人口減少にどう対応するか■最先端理科は北海道胆振東部地震■近い将来のマンション廃墟化■いつの間にか稲盛和夫が経営を語っている■特集2はポーラ遺産騒動の続報。まさに小説より奇なり■野口先生の超整理日記は米国の住宅価格バブルと日本の景気回復の関係■「全員野球部OB内閣」■韓国だけが一方的に武装解除するリスクを認識できない韓国人
読了日:10月13日 著者:

読書メーター
9月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1505
ナイス数:87

アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
本書に目を通してからクリスティーの作品を読んでいるため、いつまでたっても読了できないので、『オリエント急行の殺人』を読んだところで登録■ポアロシリーズを最後まで読むための座右の書。読みたくなるよう誘うところは「あらまほしき」先達、といってもよい■一部を黒塗りにするなど、ネタバレには慎重に配慮する一方で、既読の読者も楽しめる内容■「ネタバレ」表示にしていないネタバレも散見される読メの方がよほど危険■かなりばっさり批評している作品もあるので、こういう意見もあるかと参考にするくらいが上手な使い方かも
読了日:09月30日 著者:霜月蒼

歴史群像 2018年 10 月号 [雑誌]歴史群像 2018年 10 月号 [雑誌]感想
■空母信濃はつくづく不幸。艦内が迷路というのも■西郷隆盛と「征韓論」:ある意味みんな征韓論。「逆説の日本史」ではどう書いていたっけ(忘れた)■負けじ魂、これぞ船乗り:祝・連載五〇回。いつも楽しみに読んでいます■庄内秋田戦争:旧幕府側の精兵庄内藩■鉄腕ゲッツ伝■ナポレオン戦争:ナポレオンの元帥からスウェーデン国王となったベルナドットが気になる■歴群ライブラリー:もっと知りたい人のための書籍紹介が充実■このほかにも読み応え十分の一冊
読了日:09月21日 著者:

週刊ダイヤモンド 2018年 9/8 号 [雑誌] (まだまだあった不動産投資の罠)週刊ダイヤモンド 2018年 9/8 号 [雑誌] (まだまだあった不動産投資の罠)感想
特集:不動産投資の罠。先日見かけた「第三者のためにする売買契約」(三為、さんため)はこれか。一読してすっきりこない契約には注意■最先端科学:キリンの長い首のミステリー■オンライン発:トルコショックは気になる。何が引き金となってもおかしくない■ブックレビュー:『自衛隊の弱点』南スーダンの日報問題でコピーが廃棄されていないのは情報の一元管理ができていない。『大英帝国の歴史』英国人の独善的な歴史観■特集2:造船「敗戦処理」。「今造」は今治造船か。造船会社、海運会社、船主、荷主などの関係がよく理解できた

読了日:09月06日 著者:

知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術 (文春新書)知らなきゃよかった 予測不能時代の新・情報術 (文春新書)感想
1年10か月空いての第4弾。今回も佐藤が語って池上が受ける展開■6月の米朝首脳会談で北朝鮮が勝利、そして日本は敗北として話が進んでいく■前回も出た官僚の劣化が止まらない■加計問題は評価と認識ばかりで事実の確定がない■内閣人事局の弊害■近代法の「内心と行動の間には乖離がある」という前提は思想即行動のテロリストには通用しない■実はテロ先進国の日本■1919年のパリ講和会議で日本は人種差別撤廃を提案したが米英らが否決■トランプの大統領就任演説における「犬笛」■国際情勢がきわめて流動的になって変化が激しくなったから、民主主義的な手続きによる時間のコストに政治が耐えられなくなっていて、独裁的な傾向が高まっている■電気自動車への転換で内燃機関の時代が終わり、石油は航空燃料と兵器ぐらいにしか使われなくなる。欧州の中東やロシアへの依存が減る■東工大の講義で池上が驚いた学生からの質問■権力分立で知られるモンテスキュー『法の精神』で説かれる中間団体の重要性
読了日:09月05日 著者:池上 彰,佐藤 優

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
1934年。ポアロ長編8作目。『そして誰もいなくなった』と並ぶ有名作品。巻頭の孫のコメントは興を削ぐので1作目同様スルーで。2015年の三谷幸喜脚本のドラマを観たのであらすじは知ってしまっているのだが、それでも十分楽しめる。序盤から重大な伏線が置かれる一方、最後まで触れられない謎もいくつか。途中から人数が合わないと思ったが、そこはしっかり。地元警察が乗り込んで派手に捜査される前に「解決」しなければいけないこともあり、他の長編に比べて話の展開が速い。いつネタバレに遭うかわからないので早めに読むことをおすすめ。
読了日:09月01日 著者:アガサ クリスティー,Agatha Christie

読書メーター
台風や地震の被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。

今年は2月の豪雪に始まり、猛暑や台風、地震と天災の多い年ですが、
地震で発生する土砂崩れなども含めて、異常気象の影響で、
これが今年だけでなく、増えていくのでしょうね。

手控え

平成30年台風21号
2018年9月4日(上陸)
関西空港に利用客3000人、職員ら2000人取り残される

北海道胆振東部地震
2018年9月6日午前3時7分、最大震度7、M6.7

実家のある場所が地震の瞬間に停電していく映像を繰り返し見るのはなんとも。
(午前3時でも意外と明るい)
ブラックアウトの仕組みは何度か説明を聞いてもなかなかわからない。
(電池というものはあるけど、電気は溜めておくのが難しく、発電についても
 需給のバランスを保つのが難しいというのは認識しているとしても)
札幌市清田区は液状化現象でしょうね。
東日本大震災の時も千葉などで起こりましたが
(それ以前にも北海道で起きていたはず)、忘れられがち。
8月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1278
ナイス数:120

エッジウェア卿の死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)エッジウェア卿の死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
1933年、ポアロ長編7作目。早く続きが知りたい気持ちと読み終えるのがもったいない気持ち(その中には自分で謎を解きたい気持ちもある)のジレンマ。前作『邪悪の家』で気持ちよくクリスティーにだまされたので、今回もどうだましてくれるのかという期待がジレンマを呼ぶ■みなさんの感想は賛否両論だが、前作から続けて読むとクリスティーの筆が安定の域に達したと見るべきか■うまく真相から外していく筆致はさすが。伏線はいずれも回収されてそこもすっきり■ラストの手記は乱歩の『化人幻戯』を思い出した■次は有名な『オリエント急行の殺人』へ
読了日:08月26日 著者:アガサ・クリスティー

Newsweek (ニューズウィーク日本版)2018年 8/14・21合併号[奇才モーリー・ロバートソンの国際情勢入門]Newsweek (ニューズウィーク日本版)2018年 8/14・21合併号[奇才モーリー・ロバートソンの国際情勢入門]感想
■モーリー・ロバートソン:「9条教」(を信じる日本人)は「トランプ教徒」をあざ笑うことはできない、同じくらい現実に向き合えないアンチ・リアリズムだから■サウジにおける女性の運転解禁、実利価値が宗教価値を上回っていくと、原理主義者が相対的に減るかもしれない、そして民主化要求も強まる■文化論:『おバカ仕事の理論』(デヴィッド・グレーバー)から、あなたの仕事には意味がない~技術の進歩で人は仕事から解放されるはずなのに「おバカ仕事」で労働時間は増える一方、意味ある仕事ほど低賃金とも
読了日:08月24日 著者:

ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
1924年。短編集。真崎義博氏による翻訳の違和感は『邪悪の家』と同じだが読むうちに慣れてくる(とあるエピソードがあるので、『邪悪の家』よりも先にこの短編集を読んでおくのがおすすめ)。霜月蒼氏が『アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕』で「クリスティーはトリックメーカーではない」と書いているとおり(『アクロイド殺し』や『オリエント急行の殺人』は異色とも)、複数の登場人物の複雑に絡まった謎から読者のミスリードを誘うのがクリスティーの真髄かと思うので、短編は「謎解きに挑戦」と力んだりせず、長編では欠席も多いヘイスティングズとポアロの掛け合いを楽しむのがよいかと。
読了日:08月16日 著者:アガサ・クリスティー

透明なゆりかご(2) (KC KISS)透明なゆりかご(2) (KC KISS)感想
今週もドラマで号泣して、2巻を読んでまた泣く。2巻の最初の話が昨日のドラマの第4回の原作なのだが、ドラマの方もうまく脚色されている。父親が「子ども産んだだけで、なんで××んだ!」みたいな台詞があったが、母体にとって出産は一大事で、命に関わるというのは、どれだけ医療が進歩しても変わらない、のだが、男性はそういう意識がまずない。次の第5回も泣きそう。絵はヘタウマというか登場人物の書き分けも微妙なヘタヘタなのだが、医療系なので絵があまりリアル(写実的)過ぎても引いてしまうだろうから、結果としていい味が出ているというところか(話の筋だけでも個人的には涙腺崩壊のツボだが)
読了日:08月11日 著者:沖田 ×華

直江兼続と関ヶ原直江兼続と関ヶ原感想
2014年。3年近く積読していたがようやく読了。2009年のNHK大河ドラマ『天地人』に関連した調査研究事業の成果をまとめ、2011年に発行した書籍の改訂新版。特別寄稿は小山評定の通説を否定した高橋明氏(人名・地名の連続で地図もわかりづらいのが難点)■会津移封の本質、神指城築城の意味、「直江状」の諸問題、上杉景勝・直江兼続の戦略などを見ながら、慶長五年の山形合戦・福島合戦の真相を探る■あとがきでは、本書と見解を異にする部分が多いが発行時期の関係で盛り込めなかった白峰旬氏の著作を紹介■史料の写真や釈文も多く、地方からの情報発信の重要性を認識させられる。

読了日:08月04日 著者:公益財団法人 福島県文化振興財団

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